HOME  体験記  Diary -現在-  BBS  リンク


さい帯血移植

 

さい帯血とはお母さんと赤ちゃんをつなぐへその緒と
お母さんの胎盤からとれるわずかな血液のこと。

この血液から血液疾患の患者さんを救う
新たなる治療法が
さい帯血移植です。  Page 2






1、さい帯血移植とは

 1-1 はじめに
 1-2 移植のながれ
 1-3 無菌室
 1-4 前処置
 1-5 生着と拒絶
 1-6 白血球と血小板
 1-7 GVHD
 1-8 感染症
 1-9 メリット&デメリット  
2、移植のあれこれ

 2-1 移植への気持ち
 2-2 金銭面
 2-3 問題点と課題
 2-4 新しい移植方法
 2-5 移植後のQOL
 2-6 さい帯血について
 2-7 さいごに












 2、移植のあれこれ              




2-1 移植への気持ち


 〜さい帯血移植を受けるにあたって〜


 僕の場合、さい帯血移植を選ぶことになったきっかけは緊急を要したためでした。初めは、骨髄移植を第一選択として寛解に入ってからは、ずっと骨髄バンクへ登録してドナーを探していました。しかし、バンクには6座一致のドナー登録者は1人も見つからず1座違いの人とコーディネートを行っていました。
 ところが、化学療法中に白血病細胞が4.7%まで上がってきて再発の一歩手前まできていたため、バンクでの移植を諦めて第1寛解期でのさい帯血移植を実施することを選びました。

 このため、何も迷いなくさい帯血移植へと治療が進んでいきました。


 さい帯血移植を選ぶ多くの人は、
 骨髄移植のドナーが見つからない患者さんだと思われます。


 「自分にはこの治療法しか残されていないのか」
 「本当にさい帯血で腫瘍細胞がおさえきれるのか」


 という気持ちは僕の心の中にもありました。

 実際当時は、ネットで「さい帯血移植」を検索してみると闘病記も1・2つぐらいしかなくて情報量もたいへん少ないものでした。。。(05年末頃)


 でも、その一方で、

 「お母さんと赤ちゃんの力にかけてみる」
 「自分が治って移植成績を伸ばしたる」


 という思いも強くありました。

 選択肢が一つだったので突き進みやすかったというのも本音です(^^)
 あと、「さい帯血は最後の治療法として選ばれるから、最善の状態で受ける人が少ないためGVL効果が弱いと思われているだけなんだ」と、勝手に納得していました。

 実際、今でも慢性GVHDがかなり強いのであながちハズレていないかもwww


 とまあ、
 気持ちの面は、なんとかなるわ!の精神でずっといたことが
 良かったのかもしれません(^^)

 そして、自分でちゃんと理解して
 納得して治療を受けれたことが一番だったんだと思います。
 主治医を信頼できたことが何よりの強みでした。


 だから、治療法について迷っているときは自分たちが納得できるかどうか
 その気持ちを一番に大切にして選んで欲しいと思います。



ページTOPへ





2-2 金銭面


 さい帯血移植は金銭面では骨髄移植に比べて少ないです。

 骨髄移植は、バンクを経由して、コーディネート代、ドナーの検査費・入院代等(人数分)、数十万円程度かかるようです。(アバウトですみません・・・)
 その点、さい帯血移植はコーディネートや採取費用がかからないため、患者の費用負担が少ないと言えます。やっつぁんの場合、たしか10数万円だったと記憶しています。

 ただし、生着までの期間が長いため無菌室で過ごす期間も長いため、国にかかる総合的な医療費でみると、同程度だと思います。



ページTOPへ




2-3 問題点と課題


 〜さい帯血移植の問題点と課題〜


 デメリットにて書いた内容にあたります。
 一つ一つ見ていきますね。



 ・移植後、血球が回復する期間が長い
 ・感染症の危険性が高い


 生着までの期間は、一般的に自家移植なら2週間程度、骨髄移植なら2週間強、さい帯血は3週間強と言われています。この期間が短ければ短いほど、感染症へのリスクが避けられますよね。上の2つは相互関係になっていると思います。
 ただ、この点については、さい帯血移植の移植実績が多い病院であるほど、感染症対策へのあらゆる方法を持っているはずです。移植に関して最善の対応をしていれば感染症のリスクも十分にカバーできると思います。患者としては、医師や看護師の指示や注意をしっかり聞いて、自らも感染症対策を十分に意識して移植に臨みましょう。



 ・GVL効果が弱いため再発のリスクがある


 さい帯血移植は、一般的に重度のGVHDが少ないと言われています。
 これは、移植後のQOLについてはとても嬉しいことですが、反対に白血病細胞に対して闘う効果、GVL効果が弱いとも言われています。
 これは、さい帯血が非常に幼若なT細胞のため、患者さんの体に馴染みやすいっていう理由から考えられています。

 でも、やっつぁんの経験上。。。人それぞれだと思います。確かに、一度目のさい帯血移植は拒絶して弱いイメージがあったけど、今のGVHDに悩まされる状況を考えると、一概にさい帯血は弱いなんて言い切れないと思います。さい帯血でも強い子は強いんですwww



 ・造血幹細胞数が少ないため生着しない恐れがある


 これは、たしかにそうです。やっつぁんも一度拒絶されましたwww

 さい帯血移植はおよそ1割の確率で生着不全があります。その理由は、造血幹細胞数が少ないためです。一般的に骨髄移植では、患者さん体重1kgあたり3000万個の有核細胞数を目安に移植を行います。一方、さい帯血移植の場合、採取できる量が少ないため取れる有核細胞数も限られていて、患者さんの体重1kgあたり細胞数2000万個ぐらいが目安とされいています。そのため、骨髄移植よりも生着不全が起きやすく、移植成績が悪くなるんですね。

 けど、最近では新たな移植方法によってこの点は改善されています!!
 それが次の項で説明する
複数さい帯血移植です。
 細胞数が少ないなら、2つ以上で絶対量を増やしてしまおう!という移植です。そんなことができるのかと思ったら、2つ同時に移植してもどちらか一方が生着するみたいです!やっつぁんが移植した時には、第一回目の治験が終わったばかりでまだできませんでした。
 これにより、生着不全のリスクが大幅に改善され、体重の多い成人男性の方にも幅広く選ばれる移植方法となりました。

 (注: 造血幹細胞と有核細胞とでは意味が違います。有核細胞とは、骨髄液中に含まれている赤芽球、骨髄芽球、前骨髄球、骨髄球、後骨髄球、骨髄巨核球、リンパ球、細網細胞及び形質細胞で核をもっている細胞全部をあわせたものをさします。)



 ・移植の歴史が浅いため成績例も少ない
 ・成人への適用はまだまだ試験的段階な治療法である


 この2つも、年々さい帯血移植の実施の増加により、骨髄移植と共に、造血幹細胞移植の2本柱としてより良い成績を残しはじめています。



 ・どんな病気をもったさい帯血かは判断できない


 さい帯血は、採取されてから半年間はバンク登録されることはありません。これは、ドナー(赤ちゃん)の健康状態が問題ないかを調べるため、半年間は様子を見ます。患者さんが同じ病気になっては困るからですよね。
 しかし、これだけではドナーさんがこれからどんな病気にかかるかは完全にはわかりません。この点は、骨髄移植とは違う問題点であると思います。



 ・不妊になりやすい



 移植をする以上、強力な放射線や抗がん剤を使用するため、高い確率で不妊になる恐れがあります。
 この対策として予防方法などはありませんが、治療・移植前の精子・卵子保存があります。
 今は難しくても医療の発展により様々な可能性が考えられるので、半永久的に保存のできる保存施設の利用をご検討ください。





 課題としては。。。 骨髄バンクとの連携だと思います。



ページTOPへ





2-4 新しい移植法



 ●複数さい帯血移植


 名前のとおり2つ以上のさい帯血を同時に移植する方法です。

 さい帯血移植は、骨髄移植に比べて造血幹細胞が少ないため、生着不全の恐れやその後の移植成績の差も少なからずあります。それをカバーするために考えられたことが、「いっそのこと造血肝細胞の数を増やしてしまおう!!」です。
 今までさい帯血移植の目安として患者さんの体重1kgあたり2.0*10の8乗(2000万)個が必要と言われていましたが、2つで移植すると。。。片方が2000万個以上の有核細胞数、もうひとつは、1500万個未満の有核細胞数、この2つを使用することによって、2500万個以上になり骨髄移植と同程度の細胞数で移植が行えるようになってきています。これにより、当初小児にしか行われていなかったさい帯血移植は、成人の男性に対しても行える移植方法となりました。

 日本国内での最初の実施は、02年7月から行われた11例の治験でした。その後、06年度より第2回目の治験が100例以上行われています。そして現在では、複数さい帯血移植はさい帯血移植の標準的な移植方法となってきています。

 (注: 造血幹細胞と有核細胞とでは意味が違います。有核細胞とは、骨髄液中に含まれている赤芽球、骨髄芽球、前骨髄球、骨髄球、後骨髄球、骨髄巨核球、リンパ球、細網細胞及び形質細胞で核をもっている細胞全部をあわせたものをさします。)


 ●骨内移植法


 骨髄に直接さい帯血を移植する方法です。
 通常静脈から輸血のような方法で移植は行いますが、より正確に骨髄に生着させるために直接注射(?)で入れるみたいです。ちょっと恐ろしいwww
 本人の骨髄を抜き取った分だけ、骨髄内の圧力がかわらないようにさい帯血を流し込んでいく方法だそうです。できればやりたくないな〜




ページTOPへ





2-5 移植後のQOL


 やっつぁんは今これに一番悩まされていますwww


 移植後、無事生着した後から退院後にかけて次の問題が発生します。
 それが「GVHD」です。

 病気としっかり闘ってもらうためにも、GVHDはある程度わざと出さないといけません。GVL効果をきたいするためです。でも、このGVHDのコントロールが難しいんですよね。
 目安としては、皮膚に赤い発疹が出てくる程度です。これ以上出てしまうと、日常生活に影響が出てきますwww


 GVHDには、移植後100日以内に出る急性GVHD
             100日以降に出る慢性GVHDの2つがあります。


 急性GVHDは移植直後に起こるもので、重症なものは移植の成績を左右します。これを如何に抑えるかが第一のポイントです。さい帯血移植では、この急性GVHDで重症化することは少ないと言われています。ただ、この急性GVHDで重症化するとかなりの割合で慢性GVHDも出てしまうようです。

 次に、慢性GVHDは100日以降なのでだいたい退院後あたりに出ます。
 よく移植後の患者さんが、熱をこじらせて肺炎で再入院するパターンですwww免疫も弱いためサイトメガロウィルスや帯状疱疹でも入院されますが、やっつぁんの印象では肺炎入院が一番多い気がします。
 ただ、慢性GVHDが強く出ている方は比較的生存率が高いこともわかっています。


 そのかわり、日常生活においては厄介な問題なんですよね〜


 つまりGVHDのコントロール次第で、移植後のQOLは大きく変わってきます。
 薬の増減は主治医にまかせるしかありませんが、自分でもGVHDが悪化しない予防策はできるはずですので、紫外線に当たったりしないように気をつけましょう。


 社会復帰したいなら1・2年は、無理はしないことが鉄則です!!





 でも、さい帯血移植はこのGVHDが弱いため、
 あまり心配はないと言われています。

 ということで、多くの方が気になるのは退院後の過ごし方だと思うので



 だいたいの
さい帯血移植後の流れを説明しますね



@ 無事に退院!! 

 だいたい3ヶ月後ぐらいで退院されます。
 退院時に日常生活のいろいろな注意事項の説明を受けて自宅へ帰ります。

 ・手洗い、うがい、マスクでの感染予防
 ・紫外線は絶対に浴びない(GVHD悪化のため)
 ・食事制限 (生もの、発酵食品、グレープフルーツ等)
 ・海や大衆浴場などへの入浴禁止               など。。。



  Next


A 一般生活への対応

 最初、ショックを受けるのが階段を上れないことです。
 自宅での入浴もお風呂の壁が高く感じます。

 世の中こんなにバリアがあったなんてwww
 バリアフリー、ユニバーサルデザイン万歳!!(T ▽ T )


 外出はなるべく控えましょう!
 もし日中に外出するなら、マスク、サングラス、帽子、長袖で完全に紫外線対策をしてくださいね。とくに紫外線は目から一番吸収するのでサングラスor紫外線カット目がねは必須ですよ〜

 家庭内での生活で、少しずつ体力はついてきます!!
 もし家の中で風邪を引いたとしても感染源が特定しやすく、医師も対応しやすいはずですから、外出はなるだけ控えましょうね。


   Next


B 初外来

 退院後初外来、移植のために転院してきた人なら外来なんて初めて来る人は多いですよね。。。 病棟の看護師さんは外来のことはあんまり詳しく知りませんwww たいていが、採血してから1時間後ぐらいに採血結果が出るので、最初くらいは予約時間の1時間前には病院に行っておきましょう。
 ただ、ほとんどの人が診察待ちで予約時間よりも長いこと待たされると思いますwww
 やっつぁんの場合、1時間以上待ちます!!慣れてきたらその辺を計算していってもいいかもしれないですね(^^)


   Next


C GVHD や 初熱・初感染

 慢性GVHDやら、移植後初めての風邪にかかったりします。


 【慢性GVHD】

 ・皮膚症状   (カサカサ、めやに、皮膚硬化、白斑症、色素沈着、痔など)
 ・粘膜障害   (口内炎など)
 ・消化器障害  (下痢、胃痛・腹痛、腸炎)
 ・呼吸器障害  (間質性肺炎など)
 ・分泌腺     (唾液・汗が出ないなど)


 【発熱】

 ・風邪
 ・インフルエンザ
 ・肺炎
 【サイトメガロウィルス】

 ・網膜炎
 ・肺炎
 ・膀胱炎など
 【帯状疱疹】






   Next


D 1年が経過

 外来とマルクなどの検査を重ねて、1年が経過すればメンタル面でも安心していけます。
 この頃になると、食事制限が改善されていると思います。

 早い方では1年ほどで服用薬がなくなり、グレープフルーツや発酵食品や生もの解禁されます! ちなみに、食事制限に関しては、患者側から主治医に尋ねないとOKを出してくれることは少ないです。多くの患者さんを診ているから誰が食事制限解禁したか覚えていないんですよね。。。ちゃんと自分で聞いてくださいね。

 あと、免疫抑制剤やステロイドが切れると、紫外線に対しても強くなるみたいでやっつぁんの知り合いの中には、「今年の夏は日焼けをした」なんていうツワモノもいたりします。みなさんはマネしないでくださいね!


   Next


E 2年が経過

 2年以上が経過すると、生存率はグンと上がります!
 5年経過治癒を目指してがんばりましょう!!



   To the Future


F 完全治癒へ



ページTOPへ




2-6 さい帯血について


 作成中



ページTOPへ





2-7 さいごに



 治療法の選択肢の一つとして
さい帯血移植は多くのみなさんに選ばれるようになってきています。今まで移植を受けられなかった患者さんにとって画期的な治療法であるに違いないし、僕自身もさい帯血によって生かされました。
 しかし、一番の願いは、今後ES細胞の研究や白血病のゲノムの解明などによって新薬開発や治療方法が確立され、いつか白血病という病気が移植という方法をとらなくても治る日がくること!いつかそんな日がくるといいですね。




ページTOPへ





 参考文献
   『白血病と言われたら』 第四版 全国骨髄バンク推進連絡協議会 2008年
    『未来へのおくりもの さい帯血のすべて』 大野典也 実業之日本社 2008年


 
 

白血病と言われたら

-発症間もない患者さんとご家族のために-


特定非営利活動法人
全国骨髄バンク推進連絡協議会

1000円(税別)


宛先 協議会事務局 info@marrow.or.jp
FAX 03-3356-8637






さい帯血に関してかなり詳しく書いてます
 





ページTOPへ

=3
エッチラオッチラ!!
 top病院



 ※注意

 ここで書かれている情報は、大部分が普通の学生であるやっつぁんの経験を元に、本を参考にしながら解釈して作ったページなので、ここに書かれていることが全ての人に当てはまるものとは限りません。その点をご了承していただいた上で、情報の一つとして読んで頂けたら幸いです。




  Page 1  ← ← ← さい帯血移植 1 へ戻る 






inserted by FC2 system